各団体から声明や談話相次ぐ 日本被団協のノーベル賞受賞に
- 2024年 10月 18日
- 評論・紹介・意見
- 「リベラル21」岩垂 弘日本被団協のノーベル賞受賞
ノーベル平和賞を受賞した原爆被爆者の組織、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に対し、消費者団体、平和団体、文化団体などから、受賞を祝う声明や談話、メッセージが寄せられている。その一部を紹介する。
日本生協連=今日の国際社会が危機的な状況であることを強く感じる
生活協同組合の全国組織の日本生活協同組合連合会(組合員3000万人、土屋敏夫会長)は、。日本被団協受賞当日の10月11日に談話を発表した
同談話はまず「被爆者の皆様の、筆舌に尽くしがたい被爆体験を継承する活動、日本国内又国連や世界各地での地道な活動にあらためて心からの敬意を表します」と述べ、次のように続ける。
「生活協同組合は、『平和とよりよき生活のために』をスローガンに掲げ、戦争も核兵器もない世界を目指し、様々な活動に取り組んできました。中でも日本被団協とは、NPT再検討会議など国際会議への代表派遣や国連での原爆展の開催、ヒパクシャ国際署名など、市民社会からの声を国際社会に届けるための様々な活動において協働してまいりました」
「日本被団協のノーベル平和賞受賞は私たちにとっても、嬉しい出来事であるとともに、被爆者の皆様と私たちが掲げてきた願いに対し、今日の国際社会が危機的な状況であることを強く感じるものでもあります。あらためて世界の指導者に対し、核兵器廃絶と世界各地での戦闘行為の即刻停止を強く呼びかけます」
日本ペンクラブ=戦争ができる国造りに邁進する日本を許さない
一般社団法人日本ペンクラブの桐野夏生会長は11日、次のような会長談話を発表した。
「日本原水爆被害者団体協議会のこれまでの長年にわたる粘り強い運動の成果に、心より敬意を表しますとともに、このたびのご受賞を心よりお祝い申し上げます。
核なき世界の実現に向け、日本が世界のリーダーシップを取ることを、今回の受賞を機に改めて訴えたいと思います。核廃絶を活動の根幹に据える日本ペンクラブは、戦争ができる国造りに邁進する日本や、他国への侵略を正当化する国々を許さない姿勢を堅持し、文学の力を信じて一層の努力をしてゆく所存です。
被団協の皆さまのご健康を願いつつ、ともに手を携えて核廃絶への活動を行ってゆきたいと思います」
平和アピール七人委=日本被団協のこれまでの努力に感謝
世界平和アピール七人委員会(写真家・大石芳野、物理学者・小沼通二、宇宙物理学者・池内了、作曲家・池辺晉一郎、作家・高村薫、宗教学者・島薗進、国際政治学者・酒井啓子の7氏)は10月12日、以下の祝電をメールで日本被団協に送った。
「世界平和アピール七人委員会は、日本被団協が『核兵器のない世界の実現のために尽力し、核兵器は今後決して使われてはならないと証言を通じて示してきたことに対して』2024年のノーベル平和賞を受賞されたことに、心からのお祝いをお送りいたします。
ノルウェー・ノーベル委員会は、これまでの日本被団協と被爆者の活動とともに、新しい世代が引き継いでいることも評価してくれています。
私たち世界平和アピール七人委員会は、日本被団協のこれまでのご努力に感謝し、皆様と後継者の今後のご活動に期待し、私たちも核兵器のない世界の速やかな実現のために一層努力していくことといたします」
連合=受賞は核兵器のない世界と恒久平和の実現を後押しする
日本労働組合総連合会の清水秀行事務局長は12日にノーベル平和賞の受賞に関する談話を発表したが、その中でこう述べている。
「日本被団協には連合平和集会において『語り部』として原爆の悲惨な体験や記憶、平和への思いを訴えていただいており、ロシアによるウクライナへの侵略などにより核兵器の使用の危機が高まる中、今回の受賞は核兵器のない世界と恒久平和の実現を後押しする」
「わが国には、唯一の戦争被爆国としての重要な役割を果たすべき責任があり、核兵器廃絶を求める国際的な機運から目を背けることは許されない。核兵器保有国と非保有国との橋渡し役として、日本政府は核兵器禁止条約の批准への道を閉ざすことなく、まずは締約国会議にオブザーバー参加し、締約国との対話を進めるとともに、核軍縮に向けた実効ある取り組みを強く求める」
原水協=日本政府は核兵器禁止条約に参加せよ
原水爆禁止日本協議会は、日本被団協のノーベル平和賞受賞にあたって12日、声明を発表した。
声明は、まず「核兵器のない世界をめざす草の根からの運動と被爆体験の証言によって核兵器使用の手を抑えてきた『並々ならぬ努力』が評価されたものだ。我々は、この受賞を心から歓迎する」と述べ、「今回の受賞にあたっての一つの重要な点は、ノーベル委員会の推薦の声明でもふれているように、被爆者の証言が力となって作り出された核兵器使用の『タブー』が、深刻な危険にさらされていることだ。核大国によって核兵器使用の威嚇が繰り返され、他方で、『核抑止力』の名で、新たな核兵器の開発・配備や『近代化』、核戦略と結びついた通常兵器の大軍拡などが大規模にすすめられている。我々は、この機に、改めて日本が唯一の戦争被爆国として核兵器禁止条約に参加し、核兵器のない世界のためにイニシアチブを発揮するよう、被爆80年に向け、被爆者の体験とメッセージを継承する国民的な決意と運動をよびかけたい」としている。
原水禁=次の世代に被爆の実相が継承されるよう運動に取り組む
原水爆禁止日本国民会議共同議長の川野浩一、金子哲夫、染裕之の3氏は、日本被団協のノーベル平和賞受賞に際して12日、連名で声明を発表した。
声明は、まず「被爆者が二度と核兵器を使ってはならない、世界に核兵器はいらないと訴えてきた活動が高く評価されたものであり、これまで活動を積み重ねてこられた日本被団協のみなさんへ、心より敬意を表し、受賞をお慶び申し上げます」と述べ、次いで、「2021年には核兵器禁止条約が発効しました。……ヒロシマ・ナガサキを経験した日本こそが、今すぐ核兵器禁止条約に署名・批准すべきです」と強調、さらに「ノーベル委員会の説明した授賞理由の中には、『いつの日か、被爆者は歴史の証人ではなくなることでしょう。しかし、記憶を留めるという強い文化と継続的な取り組みにより、日本の若い世代は被爆者の経験とメッセージを継承しています』とあります。今後も原水禁は、被爆二世三世や高校生・大学生等といった次の世代に、確実に被爆の実相が継承されるよう運動にとりくんでいきます」としている。
初出:「リベラル21」2024.10.18より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13915:241018〕
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