FAZ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)オンライン 日本の消費者信頼感指数: オプティミズムを失う
- 2014年 2月 26日
- 時代をみる
- グローガー理恵危機の「アベノミクス」
Frankfurter Allgemeine新聞のCarsten Germis氏は、如何に安部政権の進める景気回復対策が不確かであり多くの問題を含んでいるものであるのか、その実態を報道しています。
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FAZ(Frankfurter Allgemeine Zeitung)オンライン
日本の消費者信頼感指数: オプティミズムを失う
著者: Carsten Germis
2014年 2月 11日
(概説和訳: グローガー理恵)
日本の消費者は懸念する。一方、国内では悲観主義者が多数を占めている。安部晋三首相の金融緩和政策に対する疑念が高まってきている。
日本では、この4 月1日に計画されている現在の5%から8%への消費税引き上げが、暗い影を投げかけている。一月には、消費者の懸念が明らかに高まったことを、現在の政府のデータが明示している。政府の消費者信頼感指数調査の調査対象になるのは、まず、消費者の経済期待を「早期警戒システム」として感知する職業に従事する人達である。これには、例えば、タクシーの運転手やレストランの従業員などがある。
そして、彼らが抱いている今後の先行きについての見込みは、はっきりとしている。: 消費者信頼感指数が12月と比較して5.9ポイント下がり49.0となったのである。これによって、2012年に安部氏が総理大臣の任務についてから初めて指数値が50以下になったことになる。50以下の指数値は、悲観主義者が日本の消費者の間で大多数を占めていることを示している。この1月における指数下落は、2011年3月の破壊的地震/津波以来、最大のものとなっている。
安部首相は圧力下にある
安部晋三首相にとっても、彼の「アベノミクス」と呼ばれる日本の経済/金融政策にとっても、これらの数値は好ましくない。去年、安部首相は日本銀行に金融緩和政策を大幅に拡大するようにと強要した。これにより円の対ドル、対ユーロ価格を大幅に下げさせ、東京の株式市場における株価の高騰を煽った。
しかし、海外投資家によって支えられてきた株ブームは、ここ数か月間で衰えを見せてきている。安部首相の推進する金融緩和政策や莫大なコストのかかる負債によって賄われている景気回復政策が、はたして長い間約束されてきた構造改革へと導いていくものであるかとの疑念が高まってきている。これまでのところ、そのような兆しは殆どないのである。
安部首相にとって先ず第一番目の大きなチャレンジは、計画されている消費税の値上げであり、また一方で、彼が、国民にとってはっきりと認識できるような賃金の値上げを約束したことである。
しかし賃金は去年再び、1%下がったのが現実なのである。このことはまた、長い間デフレーション気味状態にあった日本の経済情勢が、円安と上昇したエネルギー・コスト(訳注: エネルギーを輸入しなければならないためコストが上昇)のために、何年も経って初めて、インフレーション気味になったことに関係性がある。更に、エクスパート達は、消費税が値上げされた後、消費者によって感知されるインフレーション率が4%を超すかもしれないと推測している。
それどころか、ちょうど開始されたばかりの(労使間)賃金交渉で、基本給における所得増加率が、たったの1%から2%だけの結果となる可能性もあり得るのである。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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