日本車は安全か?
- 2016年 2月 29日
- 交流の広場
- 狩野隼人
昨年、部品メーカー「タカタ」の不良問題がアメリカで再燃した際、主要顧客であるホンダは大型のリコールを行い、数ヶ月してから「タカタ」製品の当面の使用を行わない旨の声明を行なった。ほぼ同時期に日産やトヨタも同様の声明を行っているが、同時に「タカタ」救済の動きも活発になっている。
小生も日本の主要3社に部品を供給しているサプライヤー企業にその時点で働いていた。顧客の訪問前に顧客に応じたカモフラージュをして訪問対応をするのが常であった。
例えばトヨタが訪問する際には「本社」から品質指標のグラフの張り出し命令が出て、しかも「本社」からそのグラフのフォーマットを送ってくる。それに記入して壁に張り出すのだが、トヨタの訪問の後は、何ヶ月も古いグラフが張りっぱなしで、更新するように現地雇用の人間が言っても腹を立てるだけの連中がプラントを牛耳っている。
ISO/TS16949はISO9001の自動車産業版なのだが、これは主にヨーロッパの自動車メーカーが共通認識を持って定めた規約であって、遠隔プラントへの監視を主に目的としていると言っていいほどプラント生産への注視が伺われる。同時に遠隔基地への監査も含めているので、度胸のないプラント管理者にはIATF国際自動車特別委員会の認証維持に関する規約における5.5は避けて通りたいところであるが、顧客にとっては「本社側」がどこまで遠隔プラントの作業に責任をもてるかのパラメーターともなる面である。メキシコではこれを規則に反してオミットする監査がいくつか存在している。
これは基本的には認証会社側の違反なのだがプラント側は力づく、金づくで認証にこぎつけようとしている。しかし、これは認証を要請している顧客企業に対するきわめて悪質な背任行為であることを企業側は認識する必要があるだろう。
また有力自動車産業のトヨタ、日産、ホンダやマツダ、スズキ、フジなどもサプライヤー側の認証過程をきちんとキャッチする体制が必要だろう。いつまでも外国企業の勝手な国際規約だと考えて日本国憲法並みに馬鹿にしているようでは、日本自動車産業の斜陽化は家電製品以上の意外性と速度で進捗しかねないだろう。
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