「護憲派」の皇太子発言賛美にひと言
- 2016年 2月 29日
- 評論・紹介・意見
- 「ピースフィロソフィー」
日本の多くの護憲「リベラル」が皇太子の誕生日会見の「護憲」発言とやらを絶賛しそれを大手メディアが報道しなかったとか言って怒っている。何か勘違いしていないか。皇室のメンバーが憲法を遵守するのは憲法で定められた当たり前のことであるし、そもそも皇太子は会見で「憲法」に触れていない。
昨年の戦後70年に言及したこの部分
「私自身も,雅子と愛子と一緒に,7月そして8月に,戦後70年に関連した特別企画展などを訪れました。そこでは,戦争の記憶を風化させることなく,次の世代,さらにその次の世代に語り継いでいくべく,様々な展示や講演などが行われておりましたが,改めて過去の歴史を学び,戦争に至った背景や,戦時中の惨禍,戦後の荒廃から立ち直る上での人々の並々ならぬ努力についての理解を深め,そして平和の意義について真摯に考えるよい機会となりました。」
http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/02/kaiken/kaiken-h28az.html
について言っているのなら、それはその通り、戦争の歴史を学び平和を真摯に考えている、と言っているのであってそれ以上のものでもそれ以下のものでもない。日本の「護憲」派が、天皇や皇室のメンバーを持ち上げて安倍に対抗しようとしているのだったらそれこそ違憲的行為である。勘違いもはなはだしい。
天皇は国民の象徴に過ぎず国民の上に立つものではない。これが戦争の教訓にもとづいて戦後日本が採用した日本国憲法の根幹「主権在民」の鉄則である。これらの「護憲」派は天皇や皇室を持ち上げることによって、天皇を改憲で「元首」としようとしている自民党に加勢している。
「護憲」派は、皇室の力などそもそもあってはいけないものを借りようとせず、主権が存在する自らの責任と自らの力において憲法を守り、違法、違憲の「安保法制」廃案に向けて努力すべきである。
初出:「ピースフィロソフィー」2016.02.29より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/02/blog-post_29.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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