カルチャーの執筆一覧

『帝国と立憲』(坂野潤治) 日中戦争はなぜ防げなかったか

著者: 三上 治

(1) 毎年、8月には戦争の事が論じられる。これ中心には8月15日の終戦記念日の戦没者追悼の式典などがある。この時期には論壇も戦争の特集を組むし、雑誌は特集記事で飾られる。報道特集もある。8月13日にNHKが「731部隊

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『西郷隆盛紀行』(橋川文三・文春学藝ライブラリー)

著者: 三上 治

(1) いつの間にか季節は秋を過ぎてもう冬になっている。暖かい陽ざしも陽が落ちれば寒々となる。秋の夜長を鳴き通す虫の声も遠のいてしまっているが、そういえば「読書の秋」というのもあまり聞かなくなった。あちらこちらの書店の店

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商社マンの幻視で表現した戦後七〇年 - 浅田次郎著『おもかげ』を読む -

著者: 半澤健市

 浅田次郎の作品を初めて読んだ。泣いた。 主人公は退職歓送会の帰路、脳梗塞で倒れる。作者は、死の床にある男の脳裏に浮かぶ回想と幻影を描いていく。その内容は、少年時代から現在に至るまでの65年の人生の、思い出深い場面である

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日馬富士問題に垣間見えるネオ・ナショナリズムの影

著者: 野上俊明

 東南アジア・南アジアの国々では、アイデンティティ政治と呼ばれる民族・宗教的な排外主義の流れが一段と強くなっています。インド、ミャンマー、インドネシア、スリランカ、バングラデッシュなどでは、外資の流れが堅調で経済的には良

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ささや句会    第39回    2017年11月29日水曜日 

著者: 公子

結ふ食  楽屋(ささや)にて 評者 新海あぐり 新藁を燃やし一人をあたためる                    新海あぐり ・余り温かくなさそう。何故にやっているのかよくわからないところがよかった? 見舞客コートの寒

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書評:『「飽食した悪魔」の戦後』-戦後日本社会の闇を形作る731部隊の亡霊

著者: 合澤  清

『「飽食した悪魔」の戦後-731部隊と二木秀雄「政界ジープ」』加藤哲郎著(花伝社2017 ) 加藤のこの大冊(「人名索引」を入れると400頁を超える)をそれでも一気に読み上げた。著者一流の綿密で広範な文献渉猟よりなるこの

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戦時下の反戦医師の足跡を掘り起こす 森永玲著『「反戦主義者なる事通告申上げます」――反軍を唱えて消えた結核医・末永敏事』 

著者: 岩垂 弘

 無教会主義のキリスト教伝道者・内村鑑三の弟子で結核の先駆的研究者でありながら、戦時下に公然と反軍を唱えたため逮捕され、この世から抹殺された医師の足跡が、長崎新聞編集局長によって70余年ぶりに掘り起こされ、単行本になった

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貝原浩の風刺画展:万人受けはあやしい。時代を戯画いた絵師、貝原浩

著者: 松田健二

「平和」「繁栄」「謙虚」、そして「安全」「希望」「努力」「未来」「平等」…… そんな言葉がどれも揺らいでいる。誰もが否定できないような「万人受け」する 表現に、ずっと前から疑いのまなざしを向けていた絵師がいた。貝原浩の仕

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(書評)堀利和編著:「私たちの津久井やまゆり園事件 ― 障害者とともに<共生社会>の明日へ」(社会評論社)を読んで

著者: 山本勝美

「これは大変な力作! 入所施設から共生社会への第一歩として」 <入所施設の凄まじさに思わず息を呑む> 一読して、なんと重みのある本だろうと思った。70年代を彷彿とさせる堀さんのプロローグ、「母よ、殺すな!」との青い芝の糾

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11.11リヒャルト・ゾルゲ・尾崎墓参会(多磨霊園)

著者: 山川 哲

毎年行われているリヒャルト・ゾルゲと尾崎秀実(関東軍の満州作戦変更をいち早く通報して、ナチのモスクワ進行を食い止めるのに役立った「スパイ・ゾルゲ」事件の当事者)の墓参会に参加した。 参加者は約30名足らず、概ね年配の方た

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ささや句会   第38回   2017年10月25日水曜日 

著者: 公子

結ふ食  楽屋(ささや)にて 評者 新海あぐり 鬼灯の一つ置かれし友の墓                      新海あぐり ・先日、友人の七回忌の墓参りをしたときの実景。彼女より頂いた句かも コスモスの風受け人を好き

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