カルチャーの執筆一覧

『深沢七郎外伝―淋しいって痛快なんだ』新海均・著 潮出版社・刊

著者: 阿部浪子

「楢山節考」で作家デビューした深沢七郎といえば、嶋中事件を思いうかべる読者もいるだろう。1960年12月の「中央公論」に掲載された、深沢の「風流夢譚」が右翼を刺激し、発行元の社長宅が襲われお手伝いが殺されたのである。深沢

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『文学地図 大江と村上と二十年』加藤典洋・著 朝日選書

著者: 阿部浪子

 ここ20年の間に、日本の文芸がどんな動きを示し、著者加藤典洋氏がどんな観察を行なってきたか。諸作品と真摯に付きあいつつ書かれた時評と評論は、文学の面白さをたっぷり気づかせてくれる。とりわけ「関係の原的負荷」という、親殺

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記録する存在としての人間    ―「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を見て

著者: 子安宣邦

ドキュメンタリー映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を京橋の試写室で見た。2007年の冬のことシカゴのアマチュア歴史家の青年が、ネガ・フィルムの一杯詰まった箱をオークションで350ドルで競り落としたことから話は始まる。

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戦後七〇年の哀しさ -書評 大沼保昭著 聞き手江川紹子『「歴史認識」とは何か―対立の構図を超えて』-

著者: 半澤健市

《居酒屋の酔客の発言でも橋下徹の発言でもない》  ■韓国や中国は、われわれに要求することを自分たちにはできるのか。日本ばかり責めるけれど、韓国にも慰安婦はいたではないか。ベトナム戦争のときに派兵された韓国軍はベトナムで一

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