スタディルームの執筆一覧

ヘーゲル「法(権利)の哲学」研究会から(1)

著者: 野上俊明

 今月で24回目を迎える「ヘーゲル研究会」は、毎月一回、月の最終土曜日の午後行われてきた。「法(権利)の哲学」研究の泰斗である滝口清栄先生にチューターをお願いして、輪読会形式で行なわれている。ドイツ古典哲学のなかでも難解

本文を読む

水俣病が映す近現代史(32)防衛線となった新潟

著者: 葛西伸夫

新潟水俣病は、熊本水俣病の原因究明やうやむやにされたままの状況で発生した。熊本の経験は、新潟において迅速な初期対応に役立ったが、同時に化学工業界や行政は、事件を粉飾処理する術も熊本から学んでいた。 新潟の被害者たちは、行

本文を読む

水俣病が映す近現代史(29)水俣病事件としての労働争議

著者: 葛西伸夫

明治~戦前までの労働組合運動 明治以降、日本は近代化を推し進める中で、多くの賃金労働者が生まれたが、労使関係は主従関係のような非人間的なものだった。 1885(明治18)年、山梨県甲府の製糸工場でのストライキが日本で最初

本文を読む

水俣病が映す近現代史(28)1960年~事件の封印と忘却

著者: 葛西伸夫

水俣病事件は1959(昭和34)年という激動の年の年末に、ウソ浄化装置の「完成」を華々しく飾り立てることによって漁協と患者へ涙金で「和解」を強い、唐突な幕引きが図られた。 時系列で見ていく前に、この時代を概括しておこうと

本文を読む

水俣病が映す近現代史(26)水俣病事件の発生②

著者: 葛西伸夫

水俣病事件をある程度俯瞰できる現在の我々から見ると、当時「現在進行中」の公害の認識というのは、信じられないほどに悠長で緩慢であるように見える。 昭和28年ころから、町の隅の海岸部で多発していた「奇病」は、3年経ってようや

本文を読む

不可視の物神性~廣松渉没後30年に寄せて

著者: ブルマン!だよね

資本論の例の商品の物神性について記述した一節(商品の物神的性格とその秘密)は価値形態論で貨幣の必然性を説いた節に後続しており、そこで商品の分析は神学的こごとや形而上学的小理屈にあふれている、商品は自分の頭で逆立ちしその頭

本文を読む

水俣病が映す近現代史(25)水俣病事件の発生①

著者: 葛西伸夫

このシリーズは水俣病事件を通して見えてくる近現代史を記述する試みで、これまで水俣病をマクロの視点で見てきたが、水俣病の発生についてはいわば「焦点」にあたる部分で、ここだけはミクロアプローチとなる。発生から激動期までを時系

本文を読む

水俣病が映す近現代史(23)金の果実を結んだアセチレンの木

著者: 葛西伸夫

これまで敗戦後の日窒の、企業再建について述べたが、ここでは経営陣の再編成が戦後の事業に与えた影響について最初に触れたい。 敗戦後、日窒の経営陣は植民地から無事に帰還したものの、GHQ(連合国軍総司令部)の指示によって「公

本文を読む

水俣病が映す近現代史(20)占領下で模索された再建

著者: 葛西伸夫

1945(昭和20)年9月2日東京湾に停泊した戦艦ミズーリの甲板にて、日本は降伏文書に署名し、無条件降伏が確定した。同日、GHQ(連合軍総司令部)が開設され、軍の解体と軍需生産の全面停止が命じられた。 日本の戦後処理は、

本文を読む

知っていますか? 気候変動対策のために原発が進められてしまう危険

著者: 編集・発行:気候変動と原発を考える会

(1)COP28で起きたこと 最近、夏に暑い日が続いたり、台風の被害が出たりすると「気候変動の影響だ」と言われることがあります。そのようなことが言われるようになったのは、CO2の人為排出が原因で気候変動が起きているという

本文を読む