4人の女性たち この『花と夢』は今年4月20日、春秋社から「アジア文芸ライブラリー」の第1作として出版されたものである。訳者は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の星泉教授。チベット語からの翻訳である。 物語は
本文を読むチベットの執筆一覧
動き始めたダライ・ラマ転生問題
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(454)―― かまえる中国 中国「環球時報」は、突然、12月7日「欧米では誤解が多いチベット仏教の輪廻転生」と題する論評を掲げた(2023・12・07)。 筆者の楊永純氏はチベット関連法実務の主任専
本文を読むやはり「民族同化」は進んでいる
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(447)―― 近頃珍しく、人民日報国際版の「環球時報」にチベットが登場した。 「チベットに来い、そして『強制同化』の話がどのくらいでたらめかを見よ」という威勢のよい「見出し」の評論である(2023
本文を読む『セブンイヤーズ・イン・チベット』の裏側で
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(438)―― 毎回楽しみにしている横田喬氏の「世界のノンフィクション秀作を読む」シリーズがハインリヒ・ハーラ―の『チベットの七年』を取り上げてくださったので、チベット人地域で暮したものとしては大いに
本文を読む放蕩無頼のダライ・ラマ!!
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(422)―― ダライ・ラマ六世の詩の日本語版が今枝由郎・海老原志穂共訳『ダライ・ラマ六世恋愛詩集』として岩波書店から出版された。これについて想い出を交えて少し述べたい。まず簡単にダライ・ラマについて
本文を読むコロナ禍のなか、チベットの教え子たちと
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(394)―― この夏、かつて留学を援助したチベット人の元学生が一人、二人とカラマツ林の中の我が家を訪ねてくれた。いつもだと家族ぐるみで来るのもいるのだが、今は新型コロナ感染が終息しない中だから仕方が
本文を読むチベット現代文学を読む
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(389)―― 最近、チベット語テキストによる短編小説集を読む機会があった。 ラシャムジャ著・星泉訳『路上の陽光』(書肆侃侃房 2022・03)と、星泉・三浦順子・海老原志穂3氏の翻訳編集による『チベッ
本文を読むチベット動乱を語った小説を読む
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(335)―― 目が悪くてパソコンにも本にも触れられない日が続いたが、白内障の手術後、視力が少し回復したので、たまたま手元にあったツェワン・イシェ・ペンバ原作、星泉訳の『白い鶴よ、翼を貸しておくれ――
本文を読む革命の嵐の中で生き抜いた少年の記録 ナクツァン・ヌロ著『ナクツァン―あるチベット少年の真実の物語』
著者: 宮里政充はじめに この『ナクツァン―あるチベット少年の真実の物語』は、1950年代末に起こったいわゆる「チベット叛乱」を舞台としている。阿部治平氏は「解説―チベットと中国革命」の書き出しで、「本書は、中国革命に翻弄される時代に
本文を読む『チベット民族文化辞典』の刊行をたたえる
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(319)―― このほど、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所から『チベット牧畜文化辞典』が刊行された。この辞典は言語学・文化人類学・歴史学・生態学・農学にわたる日本人とチベット人研究者の共同研
本文を読むチベット高原の3月は……
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(310)―― はじめに 地球規模で新型コロナウイルス感染が猖獗をきわめ、東京オリンピックが吹っ飛ぶかというこの時期に、チベットがどうだこうだというのはおかしいと思うものの、毎年3月が来るとどうしても何
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(7)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(300)―― ここでは皇帝に匹敵する権力と階級闘争の論理が少数民族の衰退を導いた経過を見る。 反右派闘争の始まり 1956年2月、ソ連共産党20回大会でのフルシチョフ首相のスターリン批判は世界に大きな
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(6)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(299)―― チベット人は現行の行政区分とは別に、チベット人地域を3区分する。ラサやシガツェを中心とする地域はウ・ザンである。カムは現在のチベット自治区のチャムド地区と四川省甘孜州、雲南省徳欽州、それ
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(5)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(297)―― いわゆるチベット叛乱は、農牧民のレベルでは、民族の自決とか高度の自治を要求するものではなかった。初めは「民主改革」への抵抗である。こののちは中共軍の殺人と破壊からの逃亡である。 パンチェ
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(4)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(296)―― チャムドへの進軍 1959年3月、チベットの王にしてチベット仏教最高位の僧ダライ・ラマはインドに亡命した。かくしてこの政教一致の国家は消えたが、その画期となったのはラサ政府の拠点チャムド
本文を読む少数民族にとって中国革命とは何だったか(3)
著者: 阿部治平すべては毛沢東から始まった 1949年の中華人民共和国成立後から1953年までに、中国内地(漢人地域)では農地改革が完了した。このとき、すでに農業生産合作社(のちの生産隊)が試行されていたが、それは期待通りに経営されてい
本文を読む少数民族から見た中国革命70周年(2)
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(294)―― 2019年10月1日は中国共産党にとって建国70周年だったが、少数民族にとっては過酷な日々の始まりの記念日だった、と前記(八ヶ岳山麗から(294))で書いた。とりわけチベット人にとっては
本文を読む日暮れて途遠し ― ダライ・ラマ亡命60年の今
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(278)―― 毎年3月になると、中国では全国人民代表大会(全人代)と全国人民政治協商会議が開かれるから、北京は厳戒状態になる。ところが、私が住んでいた中国西北の青海省も、3月には警察と武装警察と軍隊が
本文を読む転生ラマは本物といえるのか――ダライ・ラマの後継者
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(256)―― チベット仏教の頂点にあるダライ・ラマ14世の後継者問題についての報道が目立つようになった。 朝日新聞は、3月7日にチベット亡命政府のロブサン・センゲ首相が「年内に高僧による会議を開き、後
本文を読む大中華民族の形成は可能か――ラサ「暴動」10周年
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(252)―― 毎年3月に入ると、中国のチベット人地域は至るところ警察と武装警察と軍隊だらけの戒厳状態になる。今年もそうだろう。10年前の2008年北京オリンピックの5ヶ月前、3月14日ラサで大きな「暴
本文を読むあるチベット人僧侶の物語
著者: 阿部治平――八ヶ岳山麓から(251)―― 中国青海省チベット人地域の学校で日本語を教えたとき、学生から「アジャ・ゲゲンの消息を知っているか」とよく聞かれた。「知らない」と答えると誰もがひどくがっかりした。 学生の話では、アジャ・
本文を読むオーセル氏「自殺では現実を変えられない」焼身抗議の中止の呼びかけ
著者: 劉燕子2012年3月9日 チベット人作家ツェリン・オーセル氏、元中国仏教協会副主席のアキャ・リンポチェ氏、チベットの詩人カデ・ツェラン氏らは連名で、チベットの人々へ焼身抗議の中止を呼びかける署名運動を始めました。小社刊オーセル
本文を読むオーセル氏、事実上の軟禁状態
著者: 劉燕子2012年3月5日 諸先生各位 春の歩みはおぼつかないながら、次第に春の気配を感じる候になりました。お元気でご活躍のことと存じます。 さて、昨年9月、チベット女流作家のオーセルさんが、国際的に栄誉あるオランダのクラウ
本文を読む「烈火の中の永遠の生」(ツェリン・オーセル/劉燕子 訳)
著者: ツェリン・オーセル(劉燕子 訳) 二〇一一年十二月、カム地域のチャムド地区カルマ郷で、四十六歳の元僧侶、ロンツァ・テンジン・プンツォクが抗議の焼身自殺をしました。これは、二〇〇九年から、チベット地域内で抗議の焼身自殺を行った十三人目のチ
本文を読む東北チベットについてのある見解―チベット高原の一隅にて(84)
著者: 阿部治平2年前、ラサを中心にチベット人地域の各地でチベット人の騒乱(3・14事件)があった。事件後、西寧の町から民族服と赤い僧服が目立って減り、チベット人に物を売らない店があったり、役所の手続きが後回しに
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