カルチャーの執筆一覧

二十世紀文学の名作に触れる(14) 『笑い』のアンリ・ベルクソン――人間の生は飛躍を含む純粋持続と捉えた哲学者

著者: 横田 喬

 フランスの哲学者ベルクソンは「科学で解明できることには限界があり、その意味を問うことはできない」と、科学万能主義に対し異を唱えた。特に「精神が頭脳の活動によって生み出される」とする生理科学の主張は誤っている、と説いた。

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二十世紀文学の名作に触れる(13) アンリ・ベルクソンの『笑い』――「人間とは何か」を巡る省察

著者: 横田 喬

 フランスの哲学者アンリ・ベルクソン(1859~1941)は1927年、ノーベル文学賞を受けた。「美しい文章を諸々綴った」功績が高く評価されての榮譽である。前回取り上げたトーマス・マンの小説『魔の山』には、ベルクソンの「

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ささや句会  第70回  2021年 8月20日 金曜日                     

著者: 公子

  出来損なひの一日を流す新走               新海あぐり 老夫婦破顔一笑葛饅頭                  奥野 皐 生姜摺る命が数字となりし日々              新海あぐり はぐ

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二十世紀文学の名作に触れる(12) 『魔の山』のトーマス・マン――反ファシズムを貫いた文学精神

著者: 横田 喬

 近代ドイツが生んだ大作家トーマス・マンは、戦後の日本の作家たちに少なからぬ影響を及ぼした。私は新聞記者当時にそれを北杜夫さんや辻邦生さんらから直接耳にしているが、それ以外にも愛好者は多かったようだ。マンの文学作品の主人

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二十世紀文学の名作に触れる(11) トーマス・マンの『魔の山』――ドイツが世界に贈った人生の指南書

著者: 横田 喬

 今回取り上げる小説『魔の山』は岩波文庫版(訳:関泰裕・望月市恵)で(上)(下)二巻、計千百余頁にも及ぶ大冊だ。おどろおどろしい表題が祟ってか、長い間、私の家の書架で積ん読状態のままだった。1929年にノーベル文学賞を受

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『ねむらない樹』(侃侃房)?!に「阿部静枝」について書きました。

著者: 内野光子

 8月31日は、阿部静枝の命日であった。葬儀は、1974年9月10日、地元の池袋の祥雲寺で執り行われた。歌人、阿部静枝について知る人は、歌人でも少ないかもしれない。よく間違われた歌手「あべしずえ」すら知る人も少なくなった

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監視する現代社会は豊かであろうか ― 同質化するイギリス・中国・日本 ―

著者: 内田 弘

[オーウェル化するイギリス] 今から十数年前、イギリス西部イングランドの或る大学に短期留学しました。その滞在期間中、その大学が設置している外来研究者用の宿舎に泊っていました。月毎の寮費を寮の事務室に収めに行き、ついでに雑

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二十世紀文学の名作に触れる(10) 詩聖タゴールの横顔― ―インドの民衆を詩歌で鼓舞した愛国者

著者: 横田 喬

 タゴールは日本と縁が深く、生涯に五回も日本を訪問している。五十代半ばの頃の1916(大正5)年から六十代後半の1929(昭和4)年にかけてで、美術界のリーダー岡倉天心や仏教学者の河口慧海らとの親交が元だ。日本人の自然を

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二十世紀文学の名作に触れる(9) タゴールの『ギタンジャリ』――「詩聖」による「歌の捧げ物」

著者: 横田 喬

 1913年にアジア人初のノーベル賞作家となったインドの詩人タゴールは、よく「詩聖」と称えられる。アイルランド出身の高名な詩人イェイツ(1923年にノーベル文学賞受賞)は、タゴールの受賞作『ギタンジャリ』(「歌の捧げ物」

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江東屋上菜園瓦版173号/コ ロ ナ 禍 第 5 波 、オ リ パ ラ を 襲 う ! 市民科学講座「ゼロメートル地域に注目―東京大水害に備える」

著者: 中瀬勝義

「コ ロ ナ 禍 第 5 波 、オ リ パ ラ を 襲 う !」を紹介します。 なお、市民科学講座 8月9日(月)19:00~20:30にZOOMで話題提供します。 「ゼロメートル地域に注目―東京大水害に備える」 首都圏

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シェイクスピアの「弁証法」―『ヴェニスの商人』 

著者: 合澤 清

暑気払いにと本箱で埃をかぶっていた、筑摩書房版「シェイクスピア全集」全8巻の中の1「喜劇」の頁をめくってみた。 この本には次の6本の戯曲が入っていた。 「間違いの喜劇」「じゃじゃ馬ならし」「ヴェロナの二紳士」「恋の骨折損

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ささや句会  第69回  2021年 6月20日 日曜日

著者: 公子

落日を背負ひ老婆は大豆蒔く               新海泰子 庭涼し月の砂漠は隣から                 津島佳子 言の葉を一つ埋めたる木下闇               新海あすか ステテコの博士の膝に

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二十世紀文学の名作に触れる(8) 『大地』の著者パール・バック―ヒューマニズムの伝統を受け継ぐ物語作家

著者: 横田 喬

 パール・バック(1892~1973年)は小説『大地』を著した当時を回顧し、「私はあの頃、ひどく沢山のお金が必要だったんです」と言っている。個人的な贅沢のためではない。大金が必要だったのは、娘のためだった。彼女の長女は、

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二十世紀文学の名作に触れる(7) パール・バックの『大地』―中国の農夫の暮らしと家系を豊かに描く一大叙事詩

著者: 横田 喬

 米国の作家パール・バック(1892~1973年)は代表作『大地』の文学的価値が認められ、1938年にノーベル文学賞を受けている。同賞選考委員会は、その推薦文で「彼女の小説は、中国の農夫の生活を豊かに、真に叙事詩的に描き

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