カルチャーの執筆一覧

「将は兵を犠牲にして生きのび、軍は民を棄てて逃亡する」これって美しき日本の伝統だったの?―富田武著『シベリア抑留』への読後感

著者: 合澤 清

*富田武著『シベリア抑留 スターリン独裁下、「収容所群島」の実像』(中公新書2016) 千葉大学名誉教授の岩田昌征先生がちきゅう座に投稿された「シベリア抑留と砂糖」(3/5付の記事https://chikyuza.net

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二つのドキュメンタリーを見た~アウシュビッツと沖縄と(2)

著者: 内野光子

「いのちの森 高江」(謝名元慶福監督作品 2016年)  最近、友人からDVD「いのちの森 高江」を借りて見た。沖縄の基地闘争のドキュメンタリー映画は、いくつか制作されているようなのだが、私は、森の映画社のニュースリール

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (6)

著者: 野上俊明

Ⅳ 社会活動家として東洋と西洋の統合を体現する  マ・ティーダは医者であり小説家であり社会活動家であるという、ミャンマー民主化運動が生んだ多彩な側面を持つ稀有な人格です。医療技術を手に慈悲という東洋的ヒューマニズムに基づ

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (5)

著者: 野上俊明

<試論的考察―マ・ティーダの生き方が示す四つの可能性> Ⅰ上座部仏教の可能性を拡げる  マ・ティーダは、ミャンマー人の道徳的な基礎となっている戒律遵守※の首尾一貫した生き方を発展させる複数の方向性を示唆しています。※最も

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (4)

著者: 野上俊明

<上座部仏教に由来する道徳的世界観―近代的世界観との比較>  前近代社会における世界観では、存在(何があるか ザイン)と価値規範(いかにあるべきか ゾレン)の区別がなく、すべて(自然、社会)が人間の価値観念によって浸潤さ

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (3)

著者: 野上俊明

<ヴィパッサナー瞑想による解脱をめざして>  正直私は上座部仏教の信者でもありませんし、瞑想の何たるかも実際感覚としてよく分かりません。したがってマ・ティーダの瞑想法実践の適否も判断できません。ただ結果からみて、仏法への

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (2)

著者: 野上俊明

<総選挙勝利と投獄>  1990年5月に実施された総選挙でNLDは圧勝しましたが(392/485議席)、軍事評議会SLORCは前言を翻して政権移譲を拒否、民主化勢力は徹底的に弾圧されて冬の時代に入ります。スーチー女史、テ

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マ・ティーダの獄中記「良心の囚人*―インセイン刑務所を通じての私の歩み」を読んで (1)

著者: 野上俊明

 私たちが優れた政治的自伝に期待するものは、著者の功績がつまびらかになることはもちろんですが、それ以上に著者がどれだけ生きた時代の証言者になっているかということです。時代証言としての自伝の意義は、著者と同世代人に対しては

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著者への手紙:笠井一成著『不戦死』を読んで

著者: 宮野 孝

笠井一成様 ごぶさたしています。『不戦死』を読みました。読むほどにずっしりと応えてくる本です。重量を言っているのではありません。 まず「見殺し」から。 各話の各登場人物が、太く細く繋がりながら全体を織り上げています。最終

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ギュンター・グラス作「ブリキの太鼓」を思い出した

著者: 村上良太

  大阪の塚本幼稚園の児童が軍艦マーチを奏でている映像を見た。若い女性の先生が溌剌と指揮していた。ドラムを叩いている子供が前の方に立っていた。それを見ていると「ブリキの太鼓」という小説が思い出された。作者はドイツ人のギュ

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今年の「建国記念日」は、甲府へ、石橋湛山記念館、山梨県立文学館と美術館と(2)

著者: 内野光子

  文学館でも時間が足りない  しっかりと時間もとって、ゆっくり見学するつもりであった。最初に入った文学館ではボランティアの説明の申し出があった。常設展の深沢七郎コーナーで、夫が「笛吹川論争って何ですか」と質問をしたとこ

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