カルチャーの執筆一覧

書評:井上理恵編著『木下順二の世界――敗戦日本と向き合って』

著者: 関谷由美子

編著者井上理恵は「あとがき」に「今回改めて全集を読み返して思いを新たにしたが、木下の主張が余りにも現在のこの国の在りようにピッタリとはまることに驚いた。と同時に、これまで把捉できなかったものが、明らかな相貌を帯びて迫って

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書評:長浜功著『「啄木日記」公刊過程の真相―知られざる裏面の検証』   

著者: 阿部浪子

「オレが死んだら日記は必ず焼いてくれ」。石川啄木は親友に託して1912年に他界している。しかし日記の焼却は遠のき、戦後、娘の夫によって公刊されるのであった。  著者の長浜功氏は、それまでの波瀾万丈の過程をじつに丹念にたど

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コバケン・レジェンド ―小林研一郎ハンガリー・デビュー40周年―

著者: 盛田常夫

クラシック音楽が生活の一部  ウィーン、ブダペスト、プラハはいわばクラシック音楽のメッカ。週末にはマチネのコンサートが各所で開かれ、オペラハウスでも児童生徒用にマチネ公演がおこなわれている。子供でも楽しめるオペラやバレー

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書評;高橋行徳著『向田邦子「冬の運動会」を読む』(鳥影社刊)

著者: 阿部浪子

 闘う向田邦子を紹介したいと、著者の高橋行徳氏はいう。邦子は51歳で直木賞を受賞し、翌1981年に飛行機事故で他界している。  著者は、邦子が30代から書いてきたテレビの脚本に注目し、創作活動の転機となった「冬の運動会」

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文学渉猟:芸術は神的なものを、情熱によって直観的なものにする

著者: 合澤 清

書評:サマセット・モーム作『月と六ペンス』 中野好夫訳(新潮文庫)590円 サマセット・モームといえば、かつて大学受験英語の代表作家であった。その苦い思い出からか、私は長いことモームを読もうという意欲が起きなかった。その

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