スタディルームの執筆一覧

忠臣というフィクション:富岡鉄斎の「南朝忠臣図」について

著者: 髭郁彦

 早稲田大学構内にある會津八一記念会館で5月10日から6月16日まで「【富岡展示】近代の日本画」という企画展が開催されていたが、そこに富岡鉄斎の描いた「南朝忠臣図」が展示されていた。これは12枚で一つのシリーズを構成する

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海峡両岸論 第92号 2018.07.01発行 - 「中朝同盟」復活、核の傘提供も米中を天秤にかける金正恩 -

著者: 岡田 充

 歴史的な米朝首脳会談の興奮が冷めやらぬ中、北朝鮮の金正恩・労働党委員長がまた訪中した。3か月に3回という高い頻度の訪中は何を意味するのか。米朝首脳会談の結果ほど、立場と視点によって評価が180度異なる合意はない。会談が

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海峡両岸論 第91号 2018.06.14発行 - 米朝会談は北朝鮮の「大勝利」 拉致の魔力に縛られる日本 -

著者: 岡田 充

 シンガポールで行われた歴史的な米朝首脳会談(写真 両国国旗を背に並ぶ両首脳 abemaTVから)は、トランプ米大統領が、体制保証と非核化を段階的に進めるという金正恩・労働党委員長の主張に大幅譲歩し、平壌は「体制保証」と

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■維新と日本近代・2 なぜこの農村の国学者は常に遅れて発見されるのか ―鈴木雅之『撞賢木』を読む

著者: 子安宣邦

「凡そ世(世界)になりとなる(生々)万物(人は更なり、禽獣虫魚にいたるまですべて有生のたぐひ、)尽く、皆道によりて生り出づ(道のことは下にいへり)。道ある故に、世にある万物は生り出たるものなり。」 鈴木雅之『撞賢木』総説

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晩期帝国主義における負債経済の分析のために――アデア・ターナー『債務さもなくば悪魔』を読む――

著者: 榎原均

はじめに 晩期帝国主義という用語をタイトルに使っている。その概念を簡単に与えておこう。それは金融資本を土台とした古典的帝国主義と対比して、負債経済と負債資本を土台とした現代の資本主義の政治的表現として用いることとした。資

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異論なマルクス 価値形態論~論理の飛躍が示唆するもの

著者: ブルマン!だよね

中野@貴州さんから拙論への反論をいただいて、 “「交換が量的に無差別、均一である」というのが特殊であり、むしろ不均一なのが一般的ではないのかというわけです” と主張されているのですが、これは突き詰めれば一般的等価の候補に

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海峡両岸論 第90号 2018.05.08発行 - 「統一」は経済・社会基盤の融合から 「以経促統」は意識変化をもたらすか -

著者: 岡田 充

 70年近く分断統治下にある二つの政治実体が「統一」する― 軍事的な統一はイメージし易いが、これほどコストパフォーマンスの悪い選択はない。中国にとって台湾統一は、帝国主義列強によって分断された国土を統一し、「偉大な中華民

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維新と日本近代・1  「王政復古」というクーデター  ―津田左右吉「明治憲法の成立まで」を読む

著者: 子安宣邦

「いわゆる王政復古または維新が、その実少なくとも半ばは、皇室をも国民をも欺瞞する彼等(イワクラ・オオクボら)の辞柄であり、かかる欺瞞の態度を彼等が明治時代までもちつづけてきた証跡が見える。」 津田左右吉「明治憲法の成立ま

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人間の自然との交渉と科学技術・再考――宮沢賢治への一つの接近――(5)

著者: 野沢敏治

 5 賢治の方向転換――田と畑のなかに入る  1)羅須地人協会――農民が科学と芸術を自分のものにする  賢治は1926年(大正15年)に花巻で羅須地人協会(別称・農民芸術学校)を立ちあげました。彼はそこで自分で農作業をし

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4・14(土) 世界資本主義フォーラム 「21世紀型金融危機における断絶と継承」

著者: 吉村信之

2018年4月14日(土)の「世界資本主義フォーラム」での吉村報告について、内容紹介します。 内容紹介 前回の報告「『ドル本位制』下の金融危機」(2016年04月30日『世界資本主義フォーラム』での報告)では、①以前の拙

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政府と日銀を統合して考えれば、財政再建は完了しているという俗論 - 経済学の貧困と経済学者の劣化(その6)

著者: 盛田常夫

 アベノヨイショの「経済学者」のなかで、ひときわ声高で、激しくヨイショする御仁がいる。先般も、自民党推薦の公述人として、参議院の委員会で、「異次元金融緩和で財政再建は完成している」と言い切った奇人、高橋洋一その人である。

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海峡両岸論 第89号 2018.04.06発行 - 対朝鮮政策で対米協調見直し 中国、台湾カードに猛反発 -

著者: 岡田 充

 北朝鮮の核‣ミサイル開発問題をめぐり、中国の習近平政権が進めてきたトランプ政権との対米協調路線を見直し始めた。習政権に近い中国の有力学者が明らかにした。南北首脳会談と米朝首脳会談の設定に続き、金正恩・労働党委員長は関係

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人間の自然との交渉と科学技術・再考――宮沢賢治への一つの接近――(4)

著者: 野沢敏治

 4 地球という「我家の歴史」を知って生活し生産する  1)「造化の秘密」を語る石ころ、花崗岩の役立ち  賢治の先生の関は生徒に地学を教え、それを実地に応用させていました。賢治たちは関の指導で夏季実習として盛岡市とその付

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人間の自然との交渉と科学技術・再考――宮沢賢治への一つの接近――(3)

著者: 野沢敏治

   3 関豊太郎から地学と農学を学ぶ    海温が米の収穫を左右する  宮沢賢治は盛岡高等農林学校で自然科学系の教育を受け、自分でも地質の調査をしています。明治以来の国家政策は商工業優先であって農業は後回しにされ、その

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